ホームエデュケーションを始めた理由
我が家がホームエデュケーションを始めた理由は、とてもシンプルです。
娘が「家で学びたい」と言い、その気持ちを尊重したかったから。
7年間暮らしたアメリカを離れ、日本に帰国することになったとき、私たちはひとつ決めていました。学校については、子どもたち自身の希望をできるだけ尊重しよう、と。
そう考えるようになった背景には、過去の自分たちの判断への、大きな反省がありました。
7年前、夫の仕事の都合でアメリカに渡ったとき、息子は小学校入学を控えていました。
日本で入学式を終え、3か月ほど小学校に通ったあと渡米。ほとんど英語を話せないまま、現地の小学校に通い始めました。
学校には、英語を母語としない子どもへのサポートもあり、とても手厚い環境でした。
それでも、3か月ほどたったころ、息子は「学校に行くと息が苦しくなる」と言い、学校に行けなくなってしまいました。
その後、試行錯誤を重ね、たくさんの人に支えてもらいながら、息子は再び楽しく学校に通えるようになりました。
けれど、私の中には大きな後悔が残りました。
国境を越えて引っ越し、生活も言葉も大きく変わったばかりなのに、すぐに学校に通わせる必要はあったのだろうか。
「学校には行くもの」と思い込んで、息子自身の状態をちゃんと見ていなかったのではないか。
アメリカで暮らす中で、ホームエデュケーションをしている家庭にたくさん出会いました。
そこで初めて、学校に行くことだけが学びではないのだと、実感をもって知りました。
もっとゆっくり生活に慣れ、言葉や文化に親しんでから、安心して学校に通う。そんな選択肢もあったのかもしれません。
だからこそ、帰国したときは、子どもたちの言葉や様子に耳を傾けることを大切にしたいと思いました。
地域の学校、私立の学校、インターナショナルスクール、ホームエデュケーション。
さまざまな可能性を、子どもたちと一緒に考えました。
息子は、「日本の学校に行ってみたい。日本語や日本の文化もちゃんと学んでみたい」と言い、中学校に編入することを選びました。
一方、娘にとっては、日本で生活すること自体が大きな変化。日本語の読み書きにも、まだ自信がありませんでした。
娘は「家で学びたい」と言いました。
私は、その気持ちをできる限り尊重したいと思いました。
娘のペースで日本の生活に慣れ、自分にとって一番良いと思える場所を探せばいい。
選んだ道が合わなかったら、また合う道を探せばいい。
そう思えるようになっていました。
「家で学ぶ」ということをイメージできた
とはいえ、もし私がホームエデュケーションというものをまったく知らなかったら、娘の「家で学びたい」という言葉を、そのまま受け止めるのは難しかったかもしれません。
アメリカで暮らした7年間、私たちはホームエデュケーションをしている家庭にたくさん出会いました。
娘自身も、アメリカでは森のようちえんやオルタナティブスクールに通っていました。
オルタナティブスクールでは、月曜日から木曜日まで登校し、金曜日は自宅で過ごしていました。日本語を学んだり、料理や工作をしたり、自分の興味のあることに時間を使ったり。
娘に合う教材を探し、日々の時間の使い方を工夫する。周りの人からアイディアをもらうこともありました。
私たちにとって、「自宅で学ぶ」ということは、まったく未知のものではなかったのです。
娘には、自分のペースで学ぶことが合っていると思った
もうひとつ、安心してこの選択ができた理由があります。
それは、娘自身の学び方を見てきたこと。
日本語の読み書きには、まだ時間が必要でした。
だからこそ、周りのペースに合わせるのではなく、必要なところには時間をかけ、得意なところは先に進む。興味を持ったことには、じっくり時間を使う。
そんなふうに、自分のペースで学べる環境は、娘に合っているのではないかと思いました。
英語を維持したり、さらに伸ばしたりするための時間も取れる。好きなことにたっぷり時間をかけることもできる。
苦手なことには、必要以上に焦らず取り組めます。
そうした環境の中で、娘自身が自分の学びを少しずつ作っていけるのではないか。そんな期待もありました。
実際、日本語への苦手意識がなくなった今も、自分のペースで学べることの意味を感じています。
得意なこと、苦手なこと。興味のあること、ないこと。しなければならないこと。そして、しなくてもいいけれど、やってみたいこと。
それぞれに、どれくらい時間やエネルギーを使うのか。
自分で考え、決められることは大きいと感じています。
これからも、子どもと一緒に選んでいく
娘がこれから先、「学校に行ってみたい」と思うことがあるかもしれません。
そのときは、その気持ちを尊重したいと思っています。
子どもの成長や環境の変化によって、合う学び方も変わっていくはずです。
これからも、子どもたちそれぞれと向き合い、そのときどきの希望や気持ちに耳を傾けながら、一緒に合う環境を探していきたいと思います。


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