何をどんなふうに学ぶ?
2024年秋にホームエデュケーションを始めてから約2年。何を、どんなふうに学ぶのが娘に合っているのか、手探りでいろいろと試してきました。ここでは、2026年度・小学5年生前期(4月〜9月)に学んだ内容や、そのやり方をまとめてみます。
「何をどんなふうに学ぶ?」という問いの答えは、ひとりひとりの性格や得意不得意、興味・関心、心身の状態、環境など、さまざまな要因によって異なるもの。あくまで「こんなやり方もあるんだな」という、ひとつの例として見ていただけたらと思います。
また、ここでは便宜上、学校の教科に沿って整理していますが、実際のホームエデュケーションでの学びは、教科ごとにきれいに分かれているわけではありません。料理や工作、ダンス、フィールドトリップなど、日々の生活や「好きなこと」の中にも、たくさんの学びがあります。
目次
- 国語:読むこと、考えること、伝えることを楽しむ
- 英語:世界を広げる
- 算数:日々の積み重ね+生活の中で使うこと
- 社会:知識の記憶ではなく、心に残る経験を
- 理科:「知っている」から「やってみる」へ
- 料理:総合的な学びの時間
- 工作:「好き」を深める
- 体育:ダンスで学ぶチームワーク
- 音楽:聴くことから、演奏することへ
- フィールドトリップ:学びの「アンカー」としての経験
- 半年間を振り返って
国語:読むこと、考えること、伝えることを楽しむ
国語では、まず「読むことを楽しむ」ことを大切にしています。国語の教科書と道徳の教科書はすべて読みますが、そのほかは、基本的に本人が選んだものを読んでいます。昨年から夢中になっている推理小説を中心に、習っているバレエやダンスに関するもの、教科書や小学生新聞で紹介されていた本で興味を持ったものなど、たくさんの本を図書館で借りてきて、本棚に置いています。毎朝読書の時間を設けていて、半年間で55冊読みました。
昨年度までは、とにかく読む、読んだものについて話す、というやり方でしたが、今年度からは、問題集を使って、国語の「問題」を解くことにも取り組んでいます。文章を読んで内容を理解する、短い言葉で要約する、自分ではふだん選ばないような文章にも触れる。そんな経験もしてほしいと考えて始めました。使用した教材は、Z会の「グレードアップ問題集 小学5年 国語」。文章が長すぎず、説明文・物語文・会話文などバリエーションがあること、「言葉のきまり」まで一冊で扱えること、見開きで取り組めるボリューム感がちょうどよいことから選びました。実際、問題文として出てきた物語に興味を持ち、本を借りて続きを読んだりと、国語の学びを広げてくれる一冊だと感じました。
また、「ことば」を使うことを楽しむ、表現の幅を広げる、ということを意識して、言葉を使ったゲームなども取り入れています。最近は「こども言語化大全」という本を使って、親が決めた「犯人」を、はい・いいえで答えられる質問をして当てる「犯人は誰だ?ゲーム」、写真や絵を言葉だけで説明し、相手がその説明をもとに絵を描く「テレパシーゲーム」など、楽しみながら「伝える」工夫を学ぶ時間になっています。
<こども言語化大全>
娘が一番苦戦しているのが「漢字」です。漢字を学ぶ時間を少しでも楽しくできたらと、自分ですみっコぐらしの漢字ドリルを選びましたが、一冊終わって振り返ってみると、練習したはずの漢字の多くを忘れてしまっていました。
本を読むことが好きなので、「読み」は問題ないのですが、「書く」ということについては、楽しんで身につけるための工夫が必要だと感じています。そんな中、「漢字」について楽しんで取り組めたのは、「漢字で人の名前を考える」ということでした。スペイン人の友人家族が来日した際、6人それぞれの名前を漢字にして、バッグにプリントし、説明を添えてプレゼントしました。単に音が似ている漢字を当てるのではなく、日本人が子どもに名前をつけるときのように、その人の性格や価値観、将来への願いなどを考えながら漢字を選びました。友人たちが漢字の意味や成り立ちに興味を持ってくれたことで、娘自身も、日本語や漢字の面白さを改めて感じる機会になりました。
その後、漢字学習については新たに試している方法があります。このことは、また別の記事で書きたいと思います。
英語:世界を広げる
英語は、娘にとって比較的自然に生活の中にある言葉です。バレエや工作など、本人が興味を持っているテーマの動画を観たり、友人と手紙のやり取りをしたりしています。
この半年間で特に意識したことは、ボリュームのある本に挑戦することと、表現の幅を広げ、語彙を増やすことでした。ボリュームのある本に挑戦するにあたって一番意識したことは、内容に引き込まれて夢中で読んでしまうような本と出会うこと。これまでに読んだ本で好きだった本、逆に苦手だった本、その理由、興味のあるテーマやキーワードなどをAIに共有して候補リストを作り、複数を借りてきて試し読みをしました。その中で、The Mysterious Benedict Society というシリーズに夢中になり、あっという間にシリーズ5冊を読み終えてしまいました。これに続くシリーズを探すことが、私とAIの宿題になっています。
表現の幅を広げ、語彙を増やすことについては、Critical Thinking Grade 6、Creative Writing Skills など市販の教材や、類語辞典、英英辞典などを使っています。Creative Writing Skills は、テーマに沿ってブレインストーミングをしたり、例文を別の言葉に言い換える練習をしたり、さまざまなアクティビティを通して新しい言葉や表現方法を身につける工夫があります。二人で交互に数行ずつ書いて物語を作っていくという課題もあり、楽しんで取り組んでいます。「正しい英文を書く」こと以上に、英語を使って自由に表現することを楽しんでほしいと思っています。
算数:日々の積み重ね+生活の中で使うこと
算数では、5年生上巻の教科書を使って、整数と小数、体積、比例、小数のかけ算・わり算、図形、角、偶数と奇数、倍数と約数、分数と小数など、5年生前期の内容をひと通り学びました。基本的には、自分で教科書を開き、説明を読みながら、例題を解き、練習問題を解く、というふうに進めていきます。説明がわからなくて困ったとき、解き方がわからないときなどは、隣に座ってサポートします。すぐに解き方を教えるのではなく、「今わかっていることは何?」「図にしてみたらどうなる?」と、自分で解き方を見つけられるようなサポートを心がけています。
教科書の範囲をひと通り終えたあとは、問題集に取り組みました。一度学んだことを復習したり、少し難しい問題に挑戦したりすることで、理解の確認や定着につながると感じています。使用した教材は、「Z会グレードアップ問題集 小学5年 算数 計算・図形」。基礎的な問題から応用問題まで含まれていること、余白が十分にあって書き込みやすいこと、解説がていねいで考え方を確認しやすいことなどから選びました。
そして、「算数の時間」以外にも、算数の考え方を使ったり、学んだりする機会はたくさんあります。料理では、材料を量ったり、分量を半分・2倍・2.5倍にしたり、単位を換算したり。裁縫や工作では、長さや形、面積・体積など。折り紙でも、立体やユニット作品に取り組む中で、図形や倍数などを扱う場面が出てきます。
社会:知識の記憶ではなく、心に残る経験を
社会では、教科書を読み、基本的な内容を学んだうえで、気になったことを調べたり、関連する動画を観たりしています。毎朝の小学生新聞や、生活の中で国名や地名が出てきたときには、地球儀や地図で確認したり、Google Earthで調べたり。実際の場所やものを見る機会も、できるだけ作っています。定期的にフィールドトリップに出かけていて、今期は江戸東京博物館、日本郵船氷川丸、明治神宮、大内宿、水郷佐原あやめパークなどを訪れました。また、歴史上の人物について伝記物語を読むなど、知識を記憶することだけを目的にするのではなく、心に残ったり、自分に関係のあることとして関心を持ったりできるような学び方を模索しています。
理科:「知っている」から「やってみる」へ
理科も、教科書で知識を学ぶだけではなく、実験や体験、観察を大切にしています。実験は、身近にあるものを使ってすることが多いのですが、「おもりのはたらき」の単元では、初めて市販のキットを使ってみました。必要な材料がすべてそろっていて、同梱されているシートに沿って基礎的な実験をしていくと、自然とおもりの性質についての理解が深まる内容です。実験を終えた後は、組み立てた装置を使ってサッカーのPKをするゲームをしました。遊びながら振り子の動きや勢いを実感することができて、充実した学びになりました。
このほか、日常的に料理をしたり、庭で野菜を育てたりしています。野菜の栽培では、ミニトマト、枝豆、スイカ、紫蘇、バジルなどを育てました。種まきの時期が地域によって異なることや、野菜の種類によって適した日照や水の量が異なること、害虫への対処など、学ぶことが多々ありました。また、雨が多く、枝豆やスイカは実らず、天候によって収穫が左右されることも身をもって学んだ経験でした。
料理:総合的な学びの時間
機会を見つけては一緒に料理をしています。材料を準備する。健康や予算を考えて食材を選ぶ。分量を計る。調理する。うまくいかなかったら原因を考えて修正する。そして最後には、自分で作ったものを食べる。いろいろな国の料理に挑戦する。料理には、算数も理科も社会も国語も、生活スキルも、問題解決も、そして人との関わりも含まれていて、学ぶことがとても多いと感じています。今期は、火の扱いや生肉の扱い方など、安全面も含めて少しずつできることを増やしました。
作ったものは、チキンソテー、肉まん、おやき、ピデ、ベーコンマフィン、苺のタルト、抹茶クッキー、パンナコッタ、桃と紅茶のゼリーなど。
工作:「好き」を深める
娘はものを作ることが好きです。今期は特に折り紙に夢中になりました。立体作品やユニット折り紙など、かなり難しい作品にも挑戦しています。折り紙の本のほかに、YouTubeで好きな折り紙作家さんの動画を観ながら折ることもあります。立体作品では、紙質によって折りやすさが異なることに気がついて、作品ごとにどの紙が向いているかを研究したり、パーツづくりや組み立ての手順を工夫したり、日々試行錯誤しています。わからないこと、うまくいかないことについてインターネットを使って調べたり、次の目標を設定したり。「好きなこと」を通して、「自律的に学ぶ」練習の場となっている感じがします。
体育:ダンスで学ぶチームワーク
「身体を動かす」一番の場となっているのは、習い事として続けているバレエとジャズダンスです。ダンスそのものの技術だけではなく、身体を動かす楽しさ、練習を積み重ねることの意味など、多くを学んでいます。また、発表会やコンクール、イベント出演などを通して幅広い年齢層の仲間と協力し合うことで、コミュニケーションやチームワークを学ぶ、とても良い機会にもなっていると感じています。
音楽:聴くことから、演奏することへ
バレエやジャズダンスを通してさまざまな音楽との出会いがあり、日常的に多様な音楽に触れています。楽曲が作られた背景や作曲家についての絵本や伝記を読んだり、コンサートを聴いたりすることで、関心を持つ世界を広げることを心がけています。楽器ではピアノとソプラノリコーダーを練習しています。楽譜を読み、自分の弾きたい曲を弾けるようになることが当面の目標です。
フィールドトリップ:学びの「アンカー」としての経験
身体や心が動く経験をたくさんしたいと考えて、定期的にフィールドトリップに出かけています。フィールドトリップ先は、必ずしも今学んでいることと直結している必要はありません。けれど、実際に行ってみると必ず何かつながることがあり、新たな出会いから興味が広がったりして、毎回たくさんの学びがあります。何か月も、何年も経ってから、「あそこに行ったときに見たね」「あの人がこう言っていたね」ということもあり、驚かされます。こうした、深く心に残る「点」が、日々の学びにより興味を持って取り組むためのアンカーのようになってくれるような気がしています。
半年間を振り返って
この半年間に学んだことを、教科や種類に分けて整理してきましたが、正直なところ、実際の学びはきれいに教科ごとに分けられないことも多々あります。理科の実験で、水の温度によって溶ける砂糖の量が違うことを確認しているうちに、お菓子づくりが始まってしまったり。地域による種まきの時期が異なることについて話している中で、日本の地方名や県名の復習が始まったり。
そういうときは、「今は種まきの時期の話だから……」と無理に戻すのではなく、そのまま日本の地理の復習をして、その日のテーマにしてしまうこともあります。知りたい、やってみたい、と思ったタイミングで寄り道したり、スキップしたり、順番を入れ替えたり、選択したり。それが柔軟にできることは、ホームスエデュケーションの強みだと思います。
各教科・領域である程度目標や軸は定めつつ、そこから外れることを恐れずに、寄り道しながら歩いていく。そのときどきの「知りたい」「やってみたい」を大切にしながら学ぶことで、学ぶことを楽しんでほしいと思っています。

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